どこぞの(略)
さて、そろそろディスクブレーキのロードバイクというもの違和感がなくなってきたころではないでしょうか。プロロードレースでも当然のように使われるようになりましたし。
MTBから半ば強引に輸入されたディスクブレーキですがあっさりとロードバイクに定着しそうな気配ですね。何だかんだでディスクブレーキは自転車界のスタンダードになっていくのでしょう。
そうなると自転車ファンはどうしてもディスクブレーキを避けて通れないわけですが、これが本当に分かりにくい。
なんでしょうね…ディスクブレーキについては中途半端に自転車の理解があるほど分かりにくいんじゃないかと思ったりします(※個人的経験)。クリックリリースがどれほど分かりやすいことか。
一応メーカーさんやお店がWEBサイトで説明をしていたりしますが微妙に分かりにくいというか、根本的な部分を説明していないことがシバシバです。
…というわけで素人目線でディスクブレーキを説明していきます。
最初にまず写真を見よう!
ディスクブレーキで分からないのが規格と数字の関係です。BBのように規格が豊富なだけであればまだいいのですが、商品説明に「FW: 15x100mm / QR | RW: 12x142mm / 135mm QR」とか書いてあるから困ります。こんなことを書かれても『なんで142mmと135mmが使えるわけ?意味分からねぇんだけど?』となります。
…というわけで、まずは実際の写真を見ましょう。
ディスクブレーキは最初にビジュアルを見た方が100倍速く理解できます。規格がどうのこうのなんて最後にチラ見すれば十分ですとも。
では始めましょう。
以下に数枚の写真が並びますが、これらは全て「同じ商品」を説明しているものです。
これで分かりましたよね。
このようにディスクブレーキはハブシャフトの中にアダプタを突っ込むことが出来るので様々な寸法を作ることが可能なわけです。そんなわけで「対応規格が複数表示される」という現象が起きてしまうわけですね。
ちなみにこれらの画像は中華サイトのものです。なぜ向こうの方が分かりやすいのだろうか…。
エンド幅(O.L.D)とアスクル長さの関係
ディスクブレーキの自転車ではエンド幅ではなくアスクル長さが記載されますが、これも我々素人を混乱させる要素になっています。「12mm×142mm」といった数字を出されても『142mmってどこだよ?エンド幅なのか?』となります。12mmというのがシャフトの太さだということは分かりますけどね…。
これに対する回答は何とも微妙なところだったりします。言葉で説明をすれば「アスクル長さはフレームエンド幅ではないエンド幅部分」…が正解になるのかな?
いやぁ…言葉だけでは意味分かりませんねこれも。
…というわけで再び写真を見てみましょう。
上写真はセクエル(ジェイミス)のリアエンド部分の写真です。アスクルが引っかかる部分が削ってあるのが確認できますね。
セクエルのリアアスクル規格は12mm×142mmとなのですが、この142mmは「削った部分の奥からの距離」を示しているということです。そのため『一応エンド幅ではあるんだけど一般的に言うフレーム内寸的なエンド幅ではないんだよな…』というよく分からない表現になります。
クイックリリースの場合はこういう引っかかり部分がないので自動的に「オーバーロックナット寸法(O.L.D)=フレームエンド幅」になるわけです、単純で分かりやすい!
メーカーさんやお店がディスクブレーキの自転車にエンド幅を記載しない理由はこの辺りではないかと思います。
アスクルの説明をするためにはクイックリリースの説明からやらないといけませんからね、めんどくさいです。下手に混乱して覚えられても困るので『アスクルが同じなら大丈夫だよ』となります。
では、もう一度最初の写真を見てみましょう。
この場合においてクイックリリースとアスクルでエンドがどのように違うのかイメージ出来ますか?
正解はこんな感じです(簡略化したものなのでサイズ感はテキトウです)。
リア部分だけですが十分に理解できるところでしょう。
クイックの場合はアダプタ部分の上にガシーンとフレームが乗っかるわけです。リリースは単に横からテンションをかけるだけなのでハブとは関係がありません。
アスクルの場合はアダプタ部分がフレームに引っかかります。そのアダプタの中にアスクルを通すことになるので支える役割を果たすのはアスクルです。
『じゃあどうしてフロントはクイックもアスクルも100mmなの?アスクルの方が長くないとおかしくない?』となるかと思いますが、これは単純にフロントはリアのように削っている部分が存在しないためです。
フロントは穴の上に小さな出っ張りが付いておりここに軽く引っかける構造です。リアは様々な都合によりこれができません。
クイックリリースとスルーアスクル
ここまで読んでもらえれば分かると思いますが、ディスクブレーキにおいて最も重要なのは『クイックリリースなのかスルーアスクルなのか』ということです。我々素人だとどうしても機能を優先してしまうので『機械式か油圧式か』くらいの違いだけで自転車を選んでしまったりしますが、それよりもまずフレームのエンドをしっかり確認しておきましょう。
必ずしも「ディスクブレーキ=スルーアスクル」とは限りません。まぁ実際のところ大部分がそうなのですがクイックリリースになっているディスクブレーキもごく稀にあります。
ちなみにクイックリリース式のディスクブレーキはよろしくありません。
クイックリリースのような軟弱な固定方法ではディスクブレーキの強制動に耐えることができませんからね。機械式ならまだしも油圧となると狂気の沙汰と言えましょう。
ディスクブレーキの規格と互換性①
…と、ここからが規格の話です。ようやく規格乱立時代が終結に向かってくれたので選びやすくなりました。全てがこうではありませんがおおよそが以下のようになっています。
・ロード 12mm×100mm / 12mm×142mm
・MTB 15mm×110mm / 12mm×148mm
ロードは大部分がこの寸法に収まりましたがMTBはまだちょっと乱立しています。
MTBの「15mm×110mm / 12mm×148mm」はいわゆるブースト規格というヤツですね。これがシェアを伸ばしているとはいえリア142mmのところもチラホラです。
こうなると気になってくるのが互換性ですが、基本的に「ワイドの違うものには互換性がない」と考えておいた方がいいです。
ただ、142mm→148mmといった拡張する方向であれば理屈としては『ブレーキローターを3mmずらしてシャフトを両側に+3mmすれば良い』ということでもあります。
そんなわけでオプション品としてそのようなスペーサーセットも販売されています。
・VeloFuze Boost Hub Conversion (12mm x 142mm to 148mm Boost)
https://www.velofuze.com/boost-hub-adapters/velofuze-boost-hub-conversion-12mm-x-142mm-to-148mm-boost-spacing/
上は適当に検索した英語サイトですがamazonでもそれっぽいものは売られています。
・自転車ハブ変換アダプター
ディスクブレーキは前提として「ホイールありき」の世界です。
言うまでも無いと思いますが「142mm→148mm」は出来ても「148mm→142mm」は出来ません。斬鉄剣を持ってしても片側を垂直に3mm切り落とすことは出来ないでしょう。
今日はアニメネタが多いな…。
ディスクブレーキの規格と互換性②
①ではアスクル長さについて触れました。では次にシャフト径の互換性について考えていきましょう。ディスクブレーキアスクルの構造はつまるところ「穴に筒を突っ込むだけ」です。
筒の太さはフレームで決まってしまうので変えることが出来ませんが、ホイール穴のサイズはアダプタを突っ込めば小さくすることが出来ますよね。
…ということで、ホイール穴を小さくするアダプタも販売されています。
シャフトに記載されている通り15mmを12mmに変換するアダプタです。
まぁ…外径が15mmで内径が12mmになっている長さ100mmの金属筒ですね。探せばその辺のホームセンターで売っているかもしれません。このようなものを使って径が違うものを流用出来る場合もあります。
ただ、アダプタは必ずしも上手くいくわけではないので「アダプタありき」で考えるのは危険です。
『なんかいい感じのホイールがあった!シャフト径が15mmだけどアダプタでなんとかすればいいよね!』というのはあまりおすすめ出来ないということですね。
基本的に汎用アダプタは手持ちのホイールを再利用するために使うものだと思っておいたほうが良いです。可能な限りホイールハブに付属する純正アダプタで対応しましょう。
「正しい」ディスクブレーキの規格
さて、最後に正しいディスクブレーキについて考えてみましょう。現状の規格において最も正しいのはブースト規格の「前15mm×110mm/後12mm×148mm」です。これがなぜ正しいのかと言いますと構造的に最も無理がないからです。
これも画像を出せば分かりやすいのですが、これを出してしまうとディスクブレーキを買う人いなくなるような…。
まぁいいか別に、お店の人じゃないし。ディスクロードのフロントホイールは下のような感じになっているんですよね。
スポークの片寄り半端ねぇ。
これは分かりやすくするために極端に表現しているものですが、要するにこれがフロント100mm幅のディスクブレーキの現状です。
100mmという幅にディスクローターを収納するというのがそもそも無理ぴょんです。
スポークなんて左右対象が良いに決まっているわけで、このようにオフセットされたホイールを組もうとすると右側と左側でスポークテンションを変えたりしないといけません。左右で長さが違うものを用意しないといけないことは言うまでもないでしょう。
うわー…めんどくせぇ…。
MTBのホイールに「左右非対称リム」が多い理由もこれです。このオフセットに対応させるためにリムをわざわざ変形させているわけです。対称リムも良く見るとスポークの穴に角度が付いていたりします。
本当であれば誰もこんな事したくありません。開発もめんどくさい・組むのもめんどくさい・メンテナンスもめんどくさい。見事に誰も得をしませんね、まぁお店の人の仕事は増えますけれど。
ブースト規格がなぜ現状でベストなのか分かりましたね。何のこともなく「フロント幅が10mm広いから」です。幅が広いので少しでも左右均等に近づけるというだけのことです。難しい話でもなんでもありません。
リアホイールに関しては右側にフリーハブ、左側にディスクローターが位置しているので寧ろ好都合なんですけどね…。
というわけで現状の「ディスクロード」は構造的によろしくなかったりします。
…とはいえ、これはまぁフロントフォークの問題だけともいえるので。
この問題を考慮して最初からオフセットされたフォークが発売されたりするのであれば交換することで解決できる話でもあります。スポークもよほどハードに使わない限りそうそうダメになることはないでしょう。
スポークの調整に関しても3000円くらいのところが多いですし。毎月3000円はアレですが年に1回程度なら問題の無い出費でしょう(たまには自転車屋さんにもおカネを落とさないと!)。
後はライトウェイの特集ページ等を見れば細かい部分が補完できると思います。まぁどこまで行っても「メーカーさん」なのでネガティブなところは書いていませんけどね…。
・ディスクブレーキロードバイク購入前に確認!スルーアクスル規格ガイド(RITEWAY)
https://www.riteway-jp.com/itemblog/%E3%82%AB%E3%83%86%E3%82%B4%E3%83%AA%E3%83%BC-12368/2017/12/_adminrpj
自転車は新しいことをしようとすると色々大変です。
ちなみに最近購入したジェイミスのセクエル君は思いっきりフロント100mmだったりします。
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スポーク数32本は絶対条件です。
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