カートリッジ式のBBを使う場合は知っておこう、最低限おさえておきたいチェーンラインの話

2018/10/25

ためになる話 自転車の知識

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ロードバイクのフロントシングル化に派生するチェーンラインの話です。

流石に何も書かないというのは無責任なような気もしますのでチェーンラインについての触れてみたいと思います。大部分のロードバイクユーザーの皆様には関係の無い話ですので別に知ったところで何がどうこうというわけではありませんが、知っておくとちょっとだけ楽しい内容です。


チェーンラインって何ですか?

チェーンラインというのは、メーカーが推奨する適切なチェーンの位置のことです。

自転車の変速機はその構造上ギアを変えるとチェーンが斜めになってしまうので出力が微妙に低下してしまうわけですが、『効率を最大限に考えるとこの位置にしたほうがいいですよ』とメーカーが教えてくれる数値がチェーンラインです。

そのようなわけで変速性能を考えるとチェーンラインはそれなりに重要でした…昔は。

チェーンの位置ってどうやって分かるの?

自転車チェーンそのものは空中に浮いてるので測りようがありませんが、チェーンの根本であるクランクとスプロケットはフレームに固定されていますよね。


というわけで適切なチェーンの位置(チェーンライン)はクランクやスプロケットといったギア周辺のパーツ位置から割り出します。

具体的に言うと、チェーンラインは「フロントチェーンライン」と「リアチェーンライン」の2種類がありそれぞれ計算方法が違います。


『計算とか計測とか面倒なんですけど?』という方も多いと思いますが、実際にはほぼ固定されているので特に必要も無かったりします。現在のエンド幅130mmロードバイクフレームのリアチェーンラインは大抵の場合で「43.5mm」です。

この場合であればフロントのチェーンラインも同じ数値である43.5mmであれば適正となります。要するに「チェーンラインは数値を前後で揃えておけば良い」という話です。

ちなみにエンド幅135mmのクロスバイクとかだとチェーンラインは43.5mmよりも長くなります。これはクロスバイクのエンド幅がロードバイクより広く、フロントのギア数が1枚多いためです。ボリュームがある分外側に広がるわけですね。

チェーンラインは何のために知る必要があるの?①

チェーンラインはクランクを選ぶ場合に必要になる知識です。

例えばフロントが3段のクロスバイク用のクランクをロードバイク用の2段クランクに変更するとします。この場合だとフロントのチェーンラインが変わってしまうのでそのままだと適正値から外れてしまうわけですね。

ちなみにフロントチェーンラインの計算は「シートチューブもしくはダウンチューブの外側からアウターチェーンリングの外側までの距離」と「シートチューブもしくはダウンチューブの内側からインナーチェーンリングの内側までの距離」を合計したものの半分です。

文字だけだと訳が分からないと思いますので詳しく知りたい場合は他のサイトを参考にされて下さい。

<参考>サイクルベースあさひ
チェーンラインの計算方法

話を戻しますが、クランクには実は(?)適切なチェーンラインが記載されています。


例えばFSAのVERO PRO 1x(※ロードバイク用フロントシングル専用のクランク)だとチェーンラインは44mmです。

この場合であればフロントが44mmであるのでリアも44mmであることが推奨されますので、リアチェーンラインが43.5mmであるエンド幅130mmのロードバイクフレームにとって『適切』となるわけです。

逆に言えば、チェーンラインが44mmだからこそ『これはロードバイク用のクランクなんだな』と判断できるということでもあります。

チェーンラインなんて今まで誰も教えてくれなかったけど?

チェーンラインという言葉は今現在では死語になっているといっても間違いではありません。

何故かと言いますとホローテック2BBが一般化したからです(※オクタリンクでもいいですが)。チェーンラインはスクエアテーパーのような「シェル幅が一定ではないBB」に対して『チェーンラインはこの辺にしてくださいね』とアナウンスするものなのです。

スクエアテーパーBBのシェル幅が一定ではない…というもの何だか誤解を招きそうな表現ですが、スクエアテーパーの場合はホローテック2のようにクランクを取り付ける位置を固定することが出来ないのです。

ホローテック2はBBにクランクが接触する構造なので誰がどうセッティングしても同じ位置に取りつけることになりますが、スクエアテーパーは6角レンチでグリグリ押し込んでいく仕様になっているのでかけるトルク次第でクランクの位置が変わってきます。

ロードバイクのフレームにホローテック2BBを使用してロードバイクのコンポーネントを取り付ける場合は『誰がセッティングしても同じ』にしかならないので気にしても仕方がありません。

というわけで、チェーンラインはホローテックを使用する場合は知る必要もない知識だと言えます。 

チェーンラインは何のために知る必要があるの?②

ここでもう一度このテーマに戻りましょう。

スクエアテーパークランクの場合はチェーンラインが記載されていることは分かりましたが、それだけでは取り付け出来ません。

何故かと言いますとスクエアテーパーBBには「軸の長さ」というものがあるからです。適性なトルクで締めたところで軸の長さが全く異なっているものを選んでしまうとどうしようもありません。

例えばですが、シマノのスクエアテーパー用BBであるUN-55なんかは軸長さが110mmより小さのものもあれば120mmを超えるものもあります。これだけ違えば『そもそもBBを間違えたらダメじゃん』ということになります。

『じゃあどうやってBBを選べばいいの?』ということになりますが、これもクランクの詳細情報に記載されています。…まぁここに書いてないと選びようが無いので当然と言えば当然なのですが。

先ほどのVERO PRO 1xで言えば「110.5」と言うのがBBの軸長さです。

これはより正確に言えば『VERO PRO 1xの場合はBBの軸長さを110.5mmにするとチェーンラインが44mmになりますよ』ということでもあります。

ここまで読んで貰えれば分かると思いますが、チェーンラインというものは自転車に合わせて任意で決めるものであるので「絶対」はありません。VERO PRO 1xはロードバイク用のクランクとして販売されているためチェーンラインが44mmに想定されており、その場合であればBBの軸長さは110.5mmを選ぶ必要がある…ということです。


『なんで44mmなの?43.5mmの方がいいんじゃないの?』となりそうな感じもしますが、こればっかりはメーカーの考えなのでユーザー側からすれば推測するしかありません。

おそらくですが『フロントシングル化をした場合の低ギア比に配慮して少し外側に出した方がいいのでは?』というFSA側の配慮なのだと思います。

まぁ単純に他社製品を登場させるのを嫌がっただけかもしれませんが。シマノのスクエアテーパーBBには110mmというサイズがありますので、これを使えばリアと完全に一致することになります。

チェーンラインの調べ方と新しいクランクの選び方

…というわけで新しいクランクを取り付けたい場合は「インストールされているBBの軸の長さ」と「それに伴うチェーンラインの数値」を調べる必要があるわけです。

軸の長さはクランクを取り外して実測するのが最も確実ですが、完成車で買ったものであれば製品情報から読み取っても間違いではありません(※まともなメーカーであればですが)。

例えば個人的に使っているKONA TONK(2018)に使われているクランクはFSAのVero Pro Compact N10-11というものなのですが、詳細情報を検索すると「110.5 for Chainline 44」と出てきます。

<参考>Vero Pro Compact N10-11
https://shop.fullspeedahead.com/en/vero-pro-crankset-3910

このことから『この完成車にインストールされているであろうBBはおそらく110.5mm或いは110mmだろう』という推測が出来ますので、新しいクランクを選ぶ場合はこの数値に近いものであればBBを変えずにそのまま使えるということです。

…まぁロードバイク用として売られているものであれば大抵は同じなんですけどね。

スクエアテーパーBBのメリット・デメリット

スクエアテーパーBBのデメリットについてはもう書く必要もないでしょう。『軸の長さやらなんやらを注意しなければいけない』ということです。

ホローテック2のようにフレームさえ合っていれば何でも良いとはいきません。正しい軸の長さを選んだとしてもクランクの取り付けも「一定」にはならないということは既に書いていますね。ついでに書くとBBそのものに重量もかなりあります(300gくらい)。

そんなスクエアテーパーBBのユニークな点は「Qファクターを自分で変更できる」という点です。

TONKの例で言えば、現在(おそらく)110.5mmか110mmのBBが付いているはずなので、それよりも軸の長さが違うBBを選べば勝手にQファクターを短くすることができるわけです。

もちろん無制限に短く出来るわけではありません。

チェーンリングがフレームに干渉するようでしたらクランクが回せなくなりますし、そもそもクランクに対して軸の長さが足りないかもしれません。クランクが回せてもチェーンがステーに当たりやすくなる場合もあります。Qファクターを短くするということはフロントチェーンラインを短くするということなので変速性能に影響が出る場合もあるでしょう。

…とはいえ、この辺りも使用方法や設定でクリア出来る部分ですので可能性としては面白いです。

特にフロントをシングル化するような場合であれば、インナーチェーンリングを外側に取り付ければ軸の長さをちょっと短くしてもフレームには干渉しません。


フロントチェーンラインの変更はフロントディレーラーの変速性能に大きく関わるのでロードバイク本来の機能としてはあまりよろしくないのですが、フロントをシングル化するのであればこの辺りを無視できるので非常に都合がいいとも言えます。

この場合であればQファクターを5mm縮めるくらいなら比較的簡単です。面倒な面もありますが、このようにフレキシブルな面があるのはスクエアテーパーBBのメリットだとも言えます。

まとめ(のようなもの)

チェーンラインについて簡単にまとめるとこんな感じでしょうか。

・チェーンラインはホローテック以外のクランクを使う場合に必要な数値のことです
・チェーンラインはホローテック以外のクランクには記載されており、それに合わせてBBの軸長さを選ぶ必要があります
・チェーンラインはフロントとリアを揃えるのが基本です
・チェーンラインは必ずしも厳密なものではなく、都合に合わせて変更することもできます

フロントをシングル化する場合は特に神経質になる必要はありません。

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