…というわけで「ファットバイクはどこを変更すればいいのか」的な記事です。個人的な趣味も多少は入っていますが基本的には普遍性の高い内容になっているはずですので参考にされてください。
・スモールチェーンリング+スモールスプロケット
ファットバイクにおいて最も重要なのはギア比です。なぜかといえば、ファットバイクはフレーム・ホイール・タイヤといった自転車を構成する要素全てが重いからです。こういう自転車は「より厳密なギア比」を設定しないと使いにくい自転車で終わってしまう可能性があります。
※ギア比についての知識が無い方簡単に説明しておくと「ギア比はフロントの歯数をリアの歯数で割ったものであり、大きいとギアが重く(速度が出る)小さいとギアが軽い(速度が出ない)」といったものです。
…というわけで極端なワイドレシオはやめましょう。
ファットバイクのギア比は間隔を狭くしてあげたほうがgoodです。間隔が狭い方が微調整が効くため斜度・路面状況・空気圧といった様々な状態で発生する「踏み込みの差」に対応しやすくなります。
以前にフロント30T・リア11T-42T(10S)という構成にしていたことがありましたが、よくありませんでした。
これだと最大ギア比が2.7、最小ギア比が0.71となるわけですが、ファットバイクでは2.7も0.71もまず使いません。ロードバイクやクロスバイクにおいて最大ギア比2.7というのは軽すぎる数値ですが、ファットバイクはタイヤが重く空気圧も低いので2.7でも重すぎます。
現在は「26T、リア11T-36T」にしており、以前と比べると使いやすいセッティングになっています。
このギア比を比較していくと…
[昔] [今]
2.72 2.36
2.30 2.00
2.00 1.73
1.67 1.52
1.43 1.37
1.25 1.23
1.07 1.08
0.93 0.92
0.81 0.81
0.71 0.72
…といった数値になります。比較すれば今のギア比の方が間隔が狭くなっていることが分かるはずです。
スモールチェーンリング+スモールスプロケットの恩恵はギア比だけではありません。単純にパーツが小さいので軽量化をすることが出来ますし、フロントチェーンリングが小さいとその分「障害物に当たりにくい」ということになります。
チェーンリングと障害物の接触は起こらないようで起こります。
走行中であればまず起こりませんが「自転車を押して丸太を超えたりする場合」に危なかったりします。このリスクを小さくするためにもチェーンリングは極力小さい方が良いです。
ちなみに個人的に検討したフロントチェーンリングと10Sスプロケットの関係で発生するギア比を一覧すると以下のようになります。
11T-32T | 26 | 28 | 30 |
11 | 2.364 | 2.545 | 2.727 |
12 | 2.167 | 2.333 | 2.500 |
14 | 1.857 | 2.000 | 2.143 |
16 | 1.625 | 1.750 | 1.875 |
18 | 1.444 | 1.556 | 1.667 |
20 | 1.300 | 1.400 | 1.500 |
22 | 1.182 | 1.273 | 1.364 |
25 | 1.040 | 1.120 | 1.200 |
28 | 0.929 | 1.000 | 1.071 |
32 | 0.813 | 0.875 | 0.938 |
11T-34T | 26 | 28 | 30 |
11 | 2.364 | 2.545 | 2.727 |
13 | 2.000 | 2.154 | 2.308 |
15 | 1.733 | 1.867 | 2.000 |
17 | 1.529 | 1.647 | 1.765 |
19 | 1.368 | 1.474 | 1.579 |
21 | 1.238 | 1.333 | 1.429 |
23 | 1.130 | 1.217 | 1.304 |
26 | 1.000 | 1.077 | 1.154 |
30 | 0.867 | 0.933 | 1.000 |
34 | 0.765 | 0.824 | 0.882 |
11T-36T | 26 | 28 | 30 |
11 | 2.364 | 2.545 | 2.727 |
13 | 2.000 | 2.154 | 2.308 |
15 | 1.733 | 1.867 | 2.000 |
17 | 1.529 | 1.647 | 1.765 |
19 | 1.368 | 1.474 | 1.579 |
21 | 1.238 | 1.333 | 1.429 |
24 | 1.083 | 1.167 | 1.250 |
28 | 0.929 | 1.000 | 1.071 |
32 | 0.813 | 0.875 | 0.938 |
36 | 0.722 | 0.778 | 0.833 |
11T-42T | 26 | 28 | 30 |
11 | 2.364 | 2.545 | 2.727 |
13 | 2.000 | 2.154 | 2.308 |
15 | 1.733 | 1.867 | 2.000 |
18 | 1.444 | 1.556 | 1.667 |
21 | 1.238 | 1.333 | 1.429 |
24 | 1.083 | 1.167 | 1.250 |
28 | 0.929 | 1.000 | 1.071 |
32 | 0.813 | 0.875 | 0.938 |
37 | 0.703 | 0.757 | 0.811 |
42 | 0.619 | 0.667 | 0.714 |
フロントチェーンリングは30Tまでしか想定していませんが、ファットバイクであればこれを超える場合は無いでしょう。
僕のギア比設定はかなり軽めです。一般的に考えるとフロント28T/リア11T-36Tくらいが妥当なところだと思います。
・軽量化は効果がある
ファットバイクはどこまでいっても重い自転車ですが、だからといって軽量化を無視して良いわけではありません。特に足回りは軽い方が確実に楽しくなります。デコボコ感の強い道を走る場合は一時的に「ストップ&ゴー」のようになるので足回りは軽いほど対悪路性能は向上します。
…というわけで軽量ホイールを買うのはアリです。サスペンションフォークを買う予算があるなら軽量ホイールを買ったほうがいいでしょう。
費用効果は悩むところだと思いますが、前後で400gくらいの軽量化が見込めるのであれば買っても良いところだと思います。
足回りの軽量化はチューブレスが大いに関わるところですが、この辺りは好みと熟練度が関わるので何とも言えません。ファットバイクのような大きなサイズでのチューブレス化はとても大変です。
ファットバイクの定番軽量ホイールはDT SwissのBR 2250です。
https://www.dtswiss.com/en/products/wheels-mtb/big-ride/br-2250-classic/br-2250-classic/
実質的にこれくらいしか選択肢がありません。
これより軽いものだとお値段が二倍…どころか三倍四倍を超えていきます。ファットバイクのホイールを作っているメーカーはとても少ない(※カーボンに関しては中華以外だとドイツ周辺の小さいメーカーくらいしかない)ので値段が跳ね上がります。
・ハンドル+ステムは2パターン
MTB系フラットバーハンドルは厳密に言えばフラットタイプとライズタイプの2種類があります。これは好みなのでどちらが良いという正解はありませんが、ステムと組み合わせる場合を考えると以下のパターンが機能的であると言えます。①フラットハンドル+ショートステム(40mm~50mm)
②ライズハンドル+ミディアムステム(60mm~80mm程度)
フラットタイプのハンドルはバイクに対して直角に取りつくことになります。こうなると「ハンドルを地面に押し付けやすい」ので未舗装路に対しての有効性が向上します。
未舗装路の場合はハンドルの取り回しが軽い方が良いため、50mmや40mmといった短いステムの方が好相性です。ステムが短いと重心も手前にきますのでバランスも取りやすくなると言えます。
一般的に短いステムだとハンドル操作がクイックになりすぎてしまいますが、ファットバイクの場合はタイヤが極めて太く重いのでこの問題は発生しません。
ライズタイプのハンドルはフラットタイプよりも傾いて取りつくことになります。これはハンドルを地面方向に押し付けにくいですが、その分グリップを自然な姿勢で握ることが出来るのでツーリング的なスタイルに向いているといえます。
ツーリングの場合はステムが長めの方が直進安定性が確保できるため、そこそこ長めのステムの方が好相性です。
このように予めパターンを決めておくとセッティングがしやすくなります。
・ハンドル素材はカーボン、グリップは太く
振動吸収性を上げるためにハンドルはカーボンを強くおすすめします。ハンドル幅は長いものがいいですね、長い方がしなってくれるので合理的です。目安としては750mmくらいでしょうか。アルミハンドルは硬すぎるので使うべきではありません。強度を心配される方もいるかと思いますがファットバイクは低空気圧の太タイヤで乗るので大丈夫と思います…多分、おそらく。
個人的には1500円の中華カーボンハンドルを使ってます。公園にある鉄棒に結び付けてぶら下がってみても折れなかったので大丈夫ではないかと(体重66kg)。
ファットバイクは実のところそこまで振動吸収性が良いわけではありません。
いやまぁ一般的な自転車と比べれば良いのですが、大抵の場合で『思っていたほどではないな…』といった感じだと思います。空気圧で振動を殺せるとは言っても物理的なサスペンションには敵いません。
…というわけでカーボンハンドル+太グリップは最低条件だと思います。簡単に性能向上出来る部分ですからね。グリップの太さは33mmくらいでしょうか、30mmだと細すぎるかもしれません。
・タイヤは3.5インチ前後のブロックが使いやすい
ファットバイクにロードバイクのようなスリックタイヤを付けるのはやはりミスマッチです。ファットバイクはある程度未舗装路を進まないと楽しくなりません。舗装路を通るにしても歩道の段差を超えたり凸凹面のアスファルト突っ切ったりするというレジャー感覚が無いと退屈になります。
しかしながら5インチに近いサイズのブロックタイヤだと通常使用において「やりすぎ」であることも事実です。上にも書きましたがタイヤの重さはバカになりません。ファットバイクサイズのタイヤだと1インチ違えば200g以上違ってきます。
5インチサイズが有効なのは雪道・砂道を走る場合に限定した話だと思っておいた方が良いでしょう。傾斜の緩い山道が延々と続くような場合も太い方が有効ですが日本国においてそんな道はほとんどありません。
殆どの場合でファットバイクはレジャー+α的な感覚になるはずですが、この場合は3.5インチ前後のブロックタイヤが総合的に使いやすいサイズになると思います。
・ドロッパーシートポストは必須
重量増にはなりますがファットバイク(というか悪路走行を想定している自転車全般)においてドロッパーシートポストは必須です。問答無用で買ってください。国内だと高いですがwiggleだとそれなりに安く売ってます。
・自転車専用のフラットシューズを用意する
一般的なウレタンスニーカーではソールが柔すぎるため踏み込んだパワーが殺されてしまうのでよろしくありません。とはいえ、ファットバイクでビンディングシューズは「やりすぎ」です。ビンディングにしたところで速くなるわけではありませんし、荒れ道でスリップが起こる可能性も多々あるので危ないです。
というわけである程度「専用」を想定してシューズを用意した置いた方がいいです。
まぁ結局のところFIVE-TENを超えるものはありませんのでよく分からないならFIVE-TENを選びましょう。一般的なスニーカーということならスケートシューズ系のグリップがあるものが良さげです。
・フレームバッグは役に立つ
ロードバイクであれば脚に当たって使い物にならないフレームバッグですが、ファットバイクはQファクターが広いため問題無く使うことが出来ます。サドルバッグはドロッパーシートポストとの相性が悪いですし、ハンドルバーバッグは全体の重量バランスが崩れてしまうのでよろしくありません。
…というわけで結局のところファットバイクに付けるバッグはフレームバッグしか残りません。
MTBフレームは原則的にフレームバッグを付けるようには出来ていないので商品として選択肢がほとんどありません。可能であればオーダーしたいところですね。日本国内だと高額ですが海外に注文すると安いです。
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