ざっくりこんな感じです。
それなりに正確になっているはずですがシクロクロスだけちょっと微妙だとも思ったりします。まぁシクロクロスの興味がある人は少ないはずなので大丈夫かな…。
横軸が速度、縦軸が難易度です。一目瞭然ですが速度と難易度は比例関係にあります。
速いものはその分だけ色々な部分が難しくなります。ポジションへの慣れやトレーニングの量やバイクの価格…まぁ色々ありますが総合して「ハード」だということは確実に言えます。
ではそれぞれを簡単に説明しておきましょう。
・TT
TTはタイムトライアルの略です。ガチガチに硬いフレームにガチガチに硬いホイールをアッセンブルして特徴的なヘルメットを被るのがTTです。
BOLIDE TT Carbon T1100 1K
字のごとく自転車の最速はコレです。
我々のような趣味人であればほとんどの場合で一生縁がありません。自転車専門店であっても扱っていないところがチラホラあります。
・AERO ROAD
近年のトレンドであるエアロ・ロードバイク。空気抵抗を極限まで見直して数%単位で空力特性を向上させたものです。行きつくとネジ1本にまでエアロ性能とか言い出します。
PROPEL ADVANCED SL 0 DISC
実際の走行では空気抵抗の80%以上は人体が担うので『そんなことやってどうするの?何か意味があるの?』となるところですが、現状のロードバイクは既に進化の頂点近くに位置しています。
そんなわけで新しい素材の開発やレース規定が変わらない限り消去法で「空気抵抗を減らす」くらいしかやれることがありません。メーカーはいつも苦心しています。
エアロロードは基本的にプロのロードバイクです、速度が出ないと乗ってもあまり楽しくありません。ストイックなロードバイクです。
・CYCLOCROSS
シクロクロスは競技の名前です。荒れ道を人工的に作ってそこでレースをやります。コースには泥があったり急カーブがあったり階段があったり色々です。
そんなシクロクロスバイクはエアロ・ロードバイクほどではありませんが大変です。
一般的なロードレースでは登場しない急カーブがあるのでハンドリングがクイックですし、土道・泥道を高速で突っ切らなければいけないので全体的に固めに出来ていることが多いです。まぁタイヤで調節する要素が強いのでこの辺はなんとも言えませんが…。
シクロクロスは使い方に差が出るのであまり断定できる部分がありません。
・STANDARD
いきなり「スタンダード」とか書かれても困るかもしれませんがこう書くしかありません。
785 HUEZ RS
スタンダードなロードバイクはざっくり言えば「軽さを追求している系のもの」を言います。
フレーム重量700gといったロードバイクがこれです。見た目として一番ロードバイクっぽいので一番売れます。軽いという数字の説得力も背中を押す要素ですね。
こういったフレームはエアロほどではありませんがそれなりに硬いので速度は追求します。軽いおかげで加速感も良く坂も登りやすい。バランスが良いので「スタンダード」です。
とはいえプロの世界ではエアロロードがスタンダードだったりします。
これはレースの規定が『重量は6.8kg以上であること』となっているためです。軽量バイクで組むとこの規定をあっさり下回ってしましますし、軽量バイクの場合はフレームが柔すぎたりするのでレースで勝てません。
そんなわけで彼らからするとエアロがスタンダードな場合が多いです。
・ENDURACE
ロードバイク界では当然のように使われえる「エンデュランス」ということばですが、これはこれで何かと誤解を呼びやすい…。エンデュランスの意味を調べると「耐久性、耐久力、忍耐力、我慢強さ」といったものが出てきますが分かるような分からないような。
ロードバイクで言うところのエンデュランスは「低疲労」です。
タイヤを太くしたり、フレーム形状で振動を減らす工夫をしたり、ショックアブソーバーを仕込んだりしてとにかく疲れないロードバイクを目指します。
疲れないので「朝から晩まで乗る!」なんてこともそれほど難しくはありません。エアロロードでこれはかなり疲れます。ショックアブソーバーが付いているエンデュランスバイクはエアロロードと比べると桁違いに疲れません。
フレーム・シートポストの形や硬さで振動吸収性を上げるのは限度があります。結局のところサスペンションをぶちこんだものには勝てません。
そんなわけでエンデュランスロードの分類・定義は困難だったりもします。
ガチのエンデュランスロードはスペシャライズドのルーベとかピナレロのK-10Sと言ったバイクになります。要するに物体としてのサスペンションが付いているモデルです。
ハード設計だけで『エンデュランス』を謳うメーカーさんも多数ありますが、機能的にはどう頑張ってもサスペンションを仕込んだバイクには勝てません。そのようなバイクを基準に考えれば「非サスペンションバイク」はエンデュランスとは言えないでしょう。
とはいえ、普段エアロロードをガシガシ踏むような方であればサスペンションが付いていなくてもフレームがちょっと柔いだけで十分に『エンデュランス』だったりします。
誰を基準に考えるのかということでエンデュランスは変わるということですね。
ここ数年のベストエンデュランスは実績を考えればスペシャライズドのルーベです。
機能もさることながらデザインが秀逸です。ルーベはコラム部分にサスペンションがついているので見た目は普通のディスクロードにしか見えません。
おカネを持て余した中高年がロードバイクデビューをするなら本当はこういうものがベストですが90%の方はかたちから入るのでほとんど場合で見向きもされません。
そんなわけでオフシーズンになると大幅セールになることもシバシバです。ある意味チャンスと言えます。
・GRAVEL ROAD
エアロロードと並んで最近のトレンディであるグラベルロード、名前がかっこいいので覚えやすいですね。グラベルロードはその名の通り「グラベル」を進むものです。そんなわけで日本で買ってもあまりその性能を活かせません。
グラベルロードに最適なステージはこんなところですからね。
グラベルとは要するに「荒野」のことです。日本は山とコンクリの国ですのでそんなところはありません。逆にアメリカではバカ売れしています、あの国はこんなところばっかりです。
…とはいえ、日本においてグラベルが全くの無意味というわけではありません。
低価格でエンデュランス性の高いものを求めるとグラベルロードの出番が来ます。しっかりしたエンデュランスよりしっかりしたグラベルの方がずっとお安いです。
グラベルロードはカジュアルなスタイルで乗っても違和感が無いというお手軽さもあります。ジーパンTeeシャツでエアロロードに乗ってると流石に違和感ですがグラベルだと結構普通です。
むしろ本来はそういう使い方こそが王道とも言えます。グラベルロードは北米発祥ですからね、あの人たちはいちいちレーパンなんか履きません。
しかしながら『グラベルをどう選ぶのか』ということが難しいのもまた事実だったりします。
グラベルは新しいジャンルなのでメーカーやモデルで方向性がバラバラです。そんなわけで用途・目的とフィットしていないと勿体ない買い物になってしまいます。
現状のグラベルロードは細かく言えば以下の3種類に分類出来ます。
①荒れ道を高速で走ることを前提にしたもの
②荒れ道を安定して走れるもの
③ツアラーバイクを悪路対応化したもの
選択肢があるのは有難い反面大変です。
①は要するにレースメーカーが作るカーボンフレームのグラベルロードです。悪路でさえも高速移動してしまおうという我の強さが欧州っぽいです。
REVOLT ADVANCED 2
これは日本国においてはほとんどの場合で買うべきではないタイプのグラベルです。残念ながらこの国で乗っても活かす場所がありません。これを選ぶならミドルグレードのエンデュランスの方が正解でしょう。
②は日本でも活躍できるグラベルです。
『ハイスペックエンデュランスを買うほどの熱意はないけどリラックスして終日乗れるロードとかないかな?』ということになると日の目を見ます。
RENEGADE EXPLOIT
実のところこういったものが正当なエンデュランスです。速度は出ずとも適切なタイヤ太さと空気圧・ジオメトリのバランスで地面に根を張るような安定感を作ります。
しかしながらこういったものは壊滅的に売れません。結局は速度が出ないことが敬遠されるので「よく分からない退屈なロードバイク」としか見なされないのが現状です。
ちなみに写真に写っているRENEGADE EXPLOITは26万円です。こういうものを買うユーザーさんはよっぽどの「通」だけです。
③が鬼門でしょうか。
これは今までのランドナーのようなツーリングバイクをディスクブレーキにしてタイヤを太くしたものです。
ざっくり言えば「普通のクロモリディスクロード」とも言えます。もっと雑に言えば②の安いやつです。
RADER EXPERT
決して悪いものではありません。
値段としても手頃ですし、ジオメトリも使いやすいものが多く、拡張性にも優れているので「普段使い」もしやすいです。泥除けを付けてもカッコいいロードバイクはこういうものかランドナー的なものですからね。
ただ、②に比べるとどうしても重量があるので軽快な走行は困難になります。
そういった意味でデビューユーザーの方にはお勧めしにくいものがあります。最初のうちはどうしても「軽い速い」を求めてしまいますからね。
『ロードバイクを体感したい』ということあればレースメーカーのエントリーバイクの方がずっとロードバイクらしさを感じることが出来るでしょう。
そもそも日本で「ロードバイクの悪路走行」なんてまずやらないわけでして。そうなると『ほとんど使わない悪路走行に備えてまでただでさえ重い重量をさらに増やしていいのか?』という問いにぶつかります。
自転車において準備は良し悪しです。心構えとしての準備はいくらでもしてよいものですが、モノを不必要に増やすのは負担にしかなりません。
「悪くない」というのはそれだけ中途半端だという意味でもあります。使えるバイクであるかどうかは人それぞれです。
0 件のコメント:
コメントを投稿