スポーツバイクは安い買い物ではないのでやってみてもいいのではないでしょうか。今はスタック&リーチを見るだけで何となく分かった感じにもなりますがやはり実際に一度描いておくと確実です。
ロードバイクが好きな方は細かい作業が好きな人が多いので(※個人的統計)慣れてくると楽しいと思いますよ。 ロードバイクだけでなくクロスバイク・MTBにも有効です。
寧ろフラットバーハンドルの場合の方が有効になる場合もシバシバです。MTBはメーカー・種類によってシート角が大きく違いますからね…スタックとリーチだけを見ていると「アレっ?」ということが起きたりします。
ジオメトリの描き方
ジオメトリについては各メーカーさんのWEBサイトに掲示されている数字を拾っていけばそれで完成するので実際のところ「描き方」なんてものはありません。機械的にやっても誰にだって描けます。…とはいえそれだと手間も増えますし、全ての要素を描かないとジオメトリが見えてこないということもありません。そのようなわけで、ここでは『最低限この要素を描けばだいたい分かる』という程度について触れていきたいと思います。
本来はCADソフトを使う方が楽で確実なのですが、ソフトの操作を覚えるのがメンドクサイ場合も多いと思いますので手書きをベースにして進めます。参考画像ではCADを使っていますが雰囲気としては伝わると思います。
手書きの場合は以下のものを準備してください。
・B4サイズ以上の1mmメモリ方眼紙
・定規
・分度器
・コンパス
・シャープペン(0.3mmが理想)
基本的には100均で揃います。方眼紙については可能であればA3サイズがいいです、大きく描いた方が精度が高くなりますからね。B4サイズが無い場合はA4サイズになりますが、この大きさだとかなりギリギリになります。
準備ができたらはじめましょう。ちなみにフリー(無料)のCADソフトはJW-CADというものがありますので時間があればそれの使い方を勉強してみるのも面白いです。
(1) まず縮尺を考える
なるべく大きく描いた方が精度は高くなりますので用紙を可能な限り広く使いましょう。一般的な自転車のホイールベースは1000mm前後です。これを1/10で書くと100mmになりますね。A3の横幅は400mmくらいなので理屈上は1/10×4=4/10まで拡大することができますが、こうなると全体像が分からなくなるので3/10や2.5/10くらいが適当でしょう。
ここではA3用紙が入手できない場合のことを考えて2.5/10で描くものとして進めていきます。
(2) 必要なジオメトリを抜きだす
次に最低限必要な要素を抜き出していきましょう。必要な要素は以下になります。・BBドロップ
・ホイールベース
・チェーンステー長さ
・シートチューブ長さ・角度
・スタック&リーチ
これくらいでおおよそは掴めます。もちろん他の要素を描き込めばそれだけ精度も上がります。
これらの要素を抜き出してからそれぞれを4で割ったものをその辺にメモしておきましょう(※縮尺が2.5/10なので)。ホイールベースが1000mmであれば250mmですね。方眼紙1mm当たりが4mmになります。
(3) 作図をする
では作図です、ここでは縮尺が2.5/10であることを前提にして進めていきます。まず最初に用紙の上から3/4くらいのところに水平線を引きます(※水色の領域が方眼紙だと思って下さい)。
用紙の端から端までびーっと線を引いて下さい。これがホイールの中心を通る線になります。
水平線が描けたらその下にBBドロップの平行線を引きます。BBドロップが最も細かい数字なのでここが一番きっちりとやらなければいけません。
70mmであれば17.5mm、50mmであれば12.5mmです。実際の作図で1mm以下の違いを表現するのは難しいので小数点以下は切り捨てても仕方がありませんが、それより上の桁は必ず守って丁寧に描いていきましょう。
BBドロップが描けたら次はホイールベースを描きます、垂直線が2本追加されるはずです。これは出来るだけ紙の中心にくるようにしてください、その方が後々描きやすいです。
最初に書いた水平線とホイールベースの交点を中心にコンパスを使って円を描きます。
ここで使うのがチェーンステー長さですね。定規で長さを測ってくるっと円を描いて下さい。BBドロップ線との交点がクランクセンターです。
円の中心からクランクセンターに直線を引きます。
クランクセンターに対して垂直線を引きます。方眼紙のマス目を使ってきれいな垂線を描きましょう。
後はスタックとリーチです。これに関しては特に説明することもないでしょう、クランクの位置が分かっているので問題なく描くことができます。
実際のところフレームの輪郭線だけならこの状態でも把握することができますが、もう少し精度を上げるためにシートステー関係も描き込みます。
分度器を使ってクランクセンターを通る直線を引きます。言うまでも無いと思いますが、ここで使うのがシート角です。
直線が引き終わったらシートチューブの長さを描き込みます。画像ではコンパス(円)を使っていますが定規で測ってもOKです。実際の作図では定規の方が確実です、コンパスはズレることが多いので…。
最後に必要な部分を太い線でなぞれば完成です。
このジオメトリではヘッドチューブを無視していますが「適切なフレームサイズ」を選ぶ程度であればこれで十分に参考になるはずです。クロモリフレームをオーダーする…といった場合はさらに描き込んで検証しないとダメですね。
難しくもないですし言うほど手間にはならないのではと思います。お子さんがいる家庭でしたら一緒に工作をするような感じで楽しめたりするのではないでしょうか。
ちなみにこのジオメトリはKONAのUNIT X(2019)のSサイズです。こういうものをストックしておくとスポーツ自転車に対する理解がとても深くなります。
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