ロードバイクを選ぶ前に知って欲しい自転車の種類と性質

2017/02/13

自転車の知識

t f B! P L

新年度を境にして自転車を始めてみようという方は多いと思います。

たまにおすすめの自転車について相談されることがあるのですがスパッと答えることが難しかったりします。最近ではロードバイクの認知度が拡大したこともあって『どのロードバイクを買えばいいの?』と聞かれることが多いのですが、そもそもロードバイクが必要なのかと返答することもしばしばです。



「ロードバイクを選ぶ前に知って欲しい自転車の種類と性質」

個人的な経験なのですが、ロードバイクの購入を検討されている方というのは「なんとなくロードバイクが欲しい」という方がかなり多いです。

これは自転車というものの中途半端な性質を考えれば当然のことだと思いますが、実際にロードバイクを買われてもほとんど乗ることもなく部屋のインテリアとなってしまった方というのも少なくありませんロードバイクは見た目としても美しいですのでこれはこれで良いような気もしますが、やはり自転車は乗らないと勿体ないですよね。


自転車は道具なのに用途に合ってない場合は使いにくいものがあります

 中には『それでも使い倒したるわ!』という情熱を持っている方もいらっしゃいますが、そこまで情熱を持たれている方はやはり少数です。ロードバイク(というか自転車)を選ぶ場合はあらかじめ知っていて欲しいことが沢山あります。



「まず自転車の種類を知ろう!」

いきなりですが自転車の種類としては概ね以下の5種類があります。厳密に言えばまだまだあるのですが、ごく一般的に考えればこの辺りでしょう(※MTBは特殊性が強いと判断してとりあえず除きました)。

・ママチャリ
・クロスバイク
・シングルスピード/コミューターバイク
・ロードバイク
・ミニベロ/フォールディングバイク(※小径車)

友人知人に「どのロードバイクを買えばいいの?」と聞かれた場合は、まずこの5種類の特性(のようなもの)を知って欲しいと返答しています。面倒なことを要求している意識はありますが、自転車ってそもそも便利なものじゃないですからね。便利な乗り物が欲しいなら原付を買った方が幸せになります。

ちなみにこの5種類の順番にはきちんと意味があります、下に行くほど面倒な自転車です。


<ママチャリについて>

言わずと知れたママチャリです。

特に書くこともないような気もしますが、安全性には触れておかなければいけないでしょう。近年の自転車ブームによって良い自転車の量も増えましたが、平行して劣悪な品質のものも増えています。自転車は自分の身体を預けるものですので品質の悪さというものは大げさでもなく生死に関わります。 

もちろんママチャリであれば全て品質が高いことはありません、悪いものも確実に混ざっています。とはいえ、ブリジストンやパナソニックといったメーカーであれば余程の事が無い限り悪いものを引き当てることは無いでしょう。古い国産ママチャリがあるのであればそれを修理して使った方が良い場合も多いはずです。

見た目の悪さから『ママチャリは嫌だ』という場合もあるでしょう。

やはりルックスは重要な要素ですし、個人的にもママチャリに乗ろうとは思いません。とはいえ一般的なママチャリは安全面で優れているということを抑えておいて下さい。

また、ママチャリは荷物を積む場合にも有利です。ママチャリは非常に重い自転車ですが、それは同時に車体の安定性が高いということを意味しています。高価なロードバイクに荷物を取り付けるたりすると元の重量が軽いことが仇となり車体のバランスが不安定になってしまいます。自転車の重量というものはどんな場合でも軽ければ良いとは限りません。


<クロスバイクについて>


実はクロスバイクの定義ははっきりと決まっているわけではありません。社会的(※売上や輸出入の統計等)にはクロスバイクもロードバイクも「スポーツ自転車」という同じカテゴリに入っていますからね。

そんな良く分からないクロスバイクですが、これが非常に使い勝手の良い自転車だということは断言して問題無いでしょう。

クロスバイクのメリットは多岐に渡ります。

まず軽量であることは言うまでもありません。簡単に比較することは出来ませんが、おおよそママチャリの半分程度の重量と考えて問題ないでしょう。あとは機能の拡張性ですね。クロスバイクはロードバイクとは違い「泥除け」や「キャリア(カゴ)」の装着が出来る場合が多いです。値段としてもさほど高額ではありません。クロスバイクの機能を持たせた自転車は他にもありますが、往々にしてクロスバイクよりも高額になります。

カゴについて触れたので荷物についても書いておきましょう。クロスバイクはロードバイクよりもバッグを使うことに向いています。ロードバイクは前傾姿勢が強いため、基本的にはバッグの使用は向いていません。軽い場合は大丈夫かもしれませんが、学生さんのように大量の荷物を背負う場合は難しいのではないでしょうか。クロスであればカゴを付けて放り込んでしまえばいいだけですからね。

良く言われることではありますが、日常使いとして考えるのであればクロスバイクはベストに近い選択です。

ロードバイクはフロントギアがむき出しであることもあり、パンツの裾なんてあっという間に汚れてしまいます。「通勤でロードバイクを使いたいんだけど・・」という方も稀にいらっしゃいます。確かに通勤でロードバイクを使っていたらスマートでかっこよいですが、スーツやシューズへのダメージ等を考えたらとてもではありませんがおススメは出来ません(カジュアルな服装で出勤できたり会社にシャワーがあったりするような環境であればまた違うかもしれませんが)。 

もちろんクロスバイクが万能というわけではないのですが、半径20km~25kmくらいまでであれば特に不都合はないでしょう。クロスバイクはゆっくり走ってもそれなりに速度を出しても絵になりますからね、様々なシチュエーションで使える一台です。


このクロスバイクですが、粗悪品も中々に多いのが現状です。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170131-00000112-san-soci

上はネットのニュース記事へのリンクですが、本当にステム(※ハンドルとフレームを繋ぐ部品)が折れている写真が出回っていたりするので笑うに笑えません。上の記事内にあるようにBAAやTSが付いていると信頼度は高いですが、例えばBAAは基本的には日本国内のメーカーが対象であるのでマークが付いていないからといって質が悪いというわけではありません。ジャイアントやトレックといった主要メーカーであればまず問題はないでしょう。

最低限の金額の目安としては4万円くらいでしょうか。ちなみにクロスバイクはマウンテンバイクを日常使用するということろから始まった自転車です。


<シングルスピードバイク/コミューターバイクについて>

シングルスピードバイクは俗に言う「ピスト」のようなものです・・といっても中身は違いますけどね。何故か社会的にはそのような感じで認知されているようですね。 

シングルスピードとは単純にギアが1つしかついていない自転車のことです。 ギアが一つなので当然変速が出来ません。これは機能として考えれば不便極まりないのですが、デザインとして考えるとギアが無い分全体がスッキリとした印象になり、スマートで都会的な雰囲気を楽しむことが出来ます。


誤解を恐れずに言えば、最も格好を付けたい場合はシングルスピードが最適です。

ハンドルの種類も多いのでカスタムの幅もかなり広いです、バーハンドルでも良いですしロードバイクと同じようにドロップハンドルにしても良いですね。半ばファッションアイテムと同化している面もありますので、そちら方面の感度が高い方にはクロスバイクよりもフィットするのではないかと思います。もちろん不都合な面もあります。変速が出来ないため、ちょっとした坂でもかなりの苦痛が要求されます。これはギアを「固定化」すればかなり改善できますが、固定化は基本的な安全性を低下させるので推奨は出来ません。

http://furamika.blogspot.jp/2015/06/blog-post_46.html
関連記事 「買ってから知ったり気付いたりしたシングルスピードバイクについてあれこれ」 

シングルスピードバイクは基本的に都市圏の狭い範囲を移動するための道具です(個人的には田舎の小さい山で使っていますが)。 半径で言えば10km圏内といったところでしょうか、地形としてのアップダウンは無い方が望ましいですね。ちなみに山手線の内側の直径がおよそ6km~7kmくらいだそうです。巡航速度は20km/h前後くらいでしょう、シングルスピードバイクはシャカシャカと動いてもあまりカッコよくなかったりします。

http://furamika.blogspot.jp/2017/02/10.html
関連記事「ストリートバイクに興味のある方に贈る定番ブランド10選」


コミューターバイクはまた難しいジャンルですなのが、これは上であげた「ママチャリとクロスバイクとシングルスピードを全部足して割った」ような自転車です。

これだと全くイメージが出来ないと思いますが、より細かく言えば「ママチャリのようなクラシックな雰囲気で、クロスバイクのように変速が可能であり、シングルスピードのようなシンプルさをもっている」といった感じでしょうか。あまりにも抽象的ですが文章としてはこのようにしか書きようがありません。

百聞は一見に如かずということで、下がシュウィンのコミューターバイク「ランデブー」です。これを眺めていけば何となくイメージが伝わるのではないでしょうか。こういったものがコミューターバイクです。


この場合は「より走行性能にこだわったママチャリ」といった感じですね。スポーツサイクル基準のパーツが使われており、ママチャリよりもスタイリッシュな雰囲気が出ています。



上はキャニオンのコミューターバイクです、こちらはさらにスポーツバイク的な要素が強くなっていますね。こうなると『クロスバイクに泥除けを付けたものと同じなんじゃないの?』と言われそうですが。

コミューターバイクは新設のジャンルであるためこれといった定義を打ち出すことが難しいのですが、「ママチャリよりスポーティでクロスバイクよりは落ち着いたもの」と言った感じです。こちらもシングルスピードと同様に都会的な背景の方がフィットしますね。


<ロードバイクについて>

さてロードバイクです。

今まで散々書いているような気もしますが、ロードバイクは雑に言えば以下の2種類に分けられます。

・競技用のロードバイク
・競技用ではないロードバイク

競技用のロードバイクはとりあえず省略してよいと思いますが、問題となるのが競技用ではないロードバイク、もしくは競技用のロードバイクを競技として使わない場合です。

まず最初に知って欲しいのは「ロードバイクは基本的に田舎で使うもの」だということです。知名度が広がったこともあり様々な地域で目にするようになりましたが、都内のど真ん中で競技用のロードバイクを乗り回すのは安全性の面や防犯的な面からもお勧め出来ません。

自転車の窃盗は全国各地で起きていますが、やはり都市部の方が圧倒的に多いのが現状です。自転車は一度盗まれたら終わりです、警察による捜査活動はまず行われません。絶対に盗まれないようにして下さい。

もちろん都内で一切使用するなということはありません、どんなものでも適切に使えば良いだけですからね。ささっと中心部を抜けて郊外やサイクリングロードを走るということであれば適切です。特にサイクリングロードはライバル(?)が非常に多く、いつ走っても同類に出会うことが出来ます。あれは地方では味わえない面白さでしょう。


実際に競技用ではないロードバイクとしては主に以下の2種類が上げられます。

・クロモリロードバイク
・シクロクロス/グラベルロードバイク

正確に言えばクロモリでレースに参加する人もいますし、シクロクロスはシクロクロス専用の競技もありますし、グラベルロードを競技で使う選手もいたりするので断言は出来ないのですが。


クロモリロードバイクは重量こそありますが頑丈で使い勝手の良いロードバイクです。

クロモリはそのクラシックな外見も相まって都市部で使用してもさほど違和感がなく、使用時の服装もこれといって選びません。競技用のレースバイクはやっぱり普段着で使うとおかしな雰囲気になりますからね。

保守的でとっつきにくいイメージのあるクロモリですが実際には間口の広い自転車です。この辺りを考慮してクロモリロードバイクを選ばれる方も多いようですね。さらに言えば、クロモリロードバイクはさらに一般的なものとランドナーのような機能性を持たせたものに分けられますがここは割愛しても問題ないでしょう。

http://furamika.blogspot.jp/2016/06/12.html
関連記事「クロモリロードバイクに興味のある方に贈るフレームメーカー20選」

http://furamika.blogspot.jp/2016/09/102016.html
関連記事 「クロモリランドナーに興味のある方に贈る有名メーカーの代表バイク10選」



シクロクロス/グラベルロードバイクはロードバイクをややマウンテンバイクに寄せた自転車です。どれだけ細分化すれば気が済むのかという気もしますが、それだけ選択肢が増えると考えれば有難い話なのかもしれません。

ロードバイクとこれらのバイクの違いですが、ブレーキがディスクブレーキだったり、フレームの剛性が高かったり、太いタイヤが付けれたリ、ジオメトリがアップライトだったりします。簡単に言えば悪路走行にも考慮されているわけですね。シクロクロスとグラベルロードの違いについては特に考える必要はないでしょう。全く同じではありませんが基本的には同じものです。

最近ではさらに派生してアドベンチャーロードバイクというものも生まれています。これはシクロクロス/グラベルロードバイクにランドナーの拡張性を持たせたもの(ランドナーをアウトドア化したものと言った方が近いような気もしますが)・・ということで良いのではないでしょうか。


上画像で取り上げているSPECIALIZEDのAWOL辺りがアドベンチャーロードバイクに当ります。このジャンルは北米メーカーが強く、SPECIALIZED以外ではJAMISやKONAといったメーカーでラインナップされています。

何といいますか非常にアメリカ的な自転車です。日本だと『何処を走ればいいのか』といった感じもしますが広大な大陸を持つ国では普通なのかもしれませんね。


<ミニベロ/フォールディングバイクについて>

自転車界の最大の鬼門がこのミニベロ/フォールディングバイクです。


自転車としての性能は極めて低いものです。この現象はタイヤの直径が小さいためどうしても避けようがありません、安価なミニベロであっても高価なミニベロであっても同じです。

これを解決するためには大きいタイヤを使うしかありません。ホイールサイズが24インチであればかなり快適な走行性能を手に入れることが出来ます(一般的なミニベロのタイヤ径は20インチ)が、そうなってくると一般的な自転車の大きさとあまり変わらなくなってしまうのでミニベロとして本末転倒に近い結果となってしまうこともしばしばです。24インチというサイズも『20インチに比べれば快適』という話で、実際のところ26インチや700Cといった乗り心地には確実に劣ります。

"人は見た目が9割"という新書が一時期話題になりました。実際に人は見た目が9割なのかはさて置くとしても、ミニベロは見た目が9割の自転車であることは事実です。見た目は素晴らしく愛らしい自転車ですが、いざ使うとなると曲者であることを理解しておきましょう。

ただ、これはあくまでも自転車マニアの視点ですので、ごく普通の方は特に気にせずに使用されていることも多いです。試しに乗ってみてこれといって不満を感じないのであれば問題無いとも言えます。ミニベロの乗り心地というものは基本的にはどれも同じなので、同じタイヤ径であれば別のモデルであっても感覚を掴むことは可能です。


次にフォールディングバイク(※折り畳み自転車)ですが、これがさらに難しい自転車です。

結論から言ってしまえば「妥協すると失敗する」のが折り畳み自転車であると言えます。折り畳みはその性質上どこにでも持ち運ぶことが出来て自転車を楽しめる・・と考えがちですが、現実的にはそういったことは困難です。

実際に折り畳み自転車を持ち運ぶのはかなりの重労働です。重さもそうですが、体積のあるものを固定しながら移動するというのは想像以上に体力を必要とします。重たい物を運ぶ場合は重心を寄せるのがセオリーですが、自転車は金属ですので身体に密着させると当然ながら痛いです。運ぶだけでもコツがいります。

そのようなわけで、もし持ち運びを前提とするのであれば、中途半端なモデルを選んでしまうと高確率で後悔が待っています。持ち運びに苦痛を感じる場合はまず『持ち運ぼう』という気持ちが起きません。

選び方としてはとにかく軽量であることを優先した方が良いでしょう。理想としてはダホンの上位モデル等が良いところですが、ルノーのウルトラライトシリーズという選択もあります。特に最近発表されたRENAULT MAGNESIUM14は本体重量約6.7kgという驚異的な重量を記録しています。これはフルカーボンのロードバイクと同等、あるいはそれよりも軽量といった数字です。この程度に軽量であれば持ち運びという行為にも現実性が見えてきます。

こういった場合は『軽量の折り畳みは耐久性が・・』という疑問が湧くと思いますが、これについては最初から諦めた方が正解です。

折り畳み自転車に耐久性を求めるのは前提から間違っています。もちろん2回・3回の使用で壊れるようなことはありませんが、基本的には『壊れたらまた買えばいいや』と割り切ることが出来る方が使うものです。 ちなみに先ほど取り上げたルノーのバイクは現時点においては市場価格で6万円程となります。仮に1年間で壊れるとしたら(※一年で壊れることは無いと思いますが)月の出費は5000円、月に2回輪行をしたとすれば一回の単価は2500円となりますね。



一言で自転車といっても様々な種類があり、ロードバイクだけでも方向性の違いで用途が細分化されています。何事もきちんと下調べをして選択された方が失敗はありません。

書きっぱなしというのもアレなので別記事に具体例を書いてみました。参考程度に眺めて下さい。

http://furamika.blogspot.jp/2017/02/blog-post_18.html
関連記事「結局の所どの自転車を買えばいいのだろうかという話」

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自転車関係のことについてアレコレ書いてたり書いてなかったりするブログ…でした。

現在は新しい方に移行しているのでこっちではどうでもいいことを書いていたりします。

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